コラム

(60)Giving is Better than Receiving?

 マーティ・キーナート


以前、私はパタゴニア社の創業者である、イボン・シュイナード氏が約4,400億円余りを環境問題に特化した2つのチャリティ団体に寄附したことを紹介しました。シュイナード氏は、自身の決断について「地球を我々の唯一の株主とすることで、資本主義を方向転換させる」のだと述べていました。

また、TRIPP LITE社のバレ・サイド氏は、スポットライトを好まず密かに慈善事業を行っています。90歳になるサイド氏は、TRIPP LITE社を昨年の夏にチャリティ団体に寄附しました。
そのほかにもアメリカには、非常に価値の高い自らの会社を慈善事業にそっくり寄附してしまう創業者が増えているようです。これは何かのトレンドなのでしょうか?

4月には、81歳の有名な企業家であるマイケル・ブルームバーグ氏は、1,200億円の価値のあるブルームバーグLPメデイア社をチャリティに寄附しました。彼の総資産は9,500億円ほどと言われていますが、フォーブスマガジン社によると彼は世界で7番目の資産家です。これまでにすでに1,450億円ほどを事前事業に寄附し世界のトップ10の慈善家としても長年名前を連ねています。

このようなニュースを見て、私は世界有数の資産家たちが、自分たちの資産をどのように使っているのかを知りたくなりました。
フォーブス社によると、世界の資産家リストはこのようになっています。
https://www.forbes.com/billionaires/

1. Bernard Arnault - France - LVMH $211 bil
2. Elon Musk - USA - Tesla, SpaceX $180 bil
3. Jeff Bezos - USA - Amazon $114 bil
4. Larry Ellison - USA - Oracle $107 bil
5. Warren Buffet - USA - Bershire Hathaway $106 bil
6. Bill Gates - USA - Microsoft $104 bil
7. Michael Bloomberg - USA - Bloomberg LP $94.5 bil
8. Carlos Slim - Mexico - Telecom $93 bil
9. Mukesh Ambani - India - Diversified $83.4 bil
10. Steve Ballmer - USA - Microsoft $80.7 bil

それでは日本はどうでしょうか?
https://www.forbes.com/lists/japan-billionaires/?sh=709fe60df987

1. Tadashi Yanai - Fast Retailing (Uniqlo) $35.4 bil
2. Takemitsu Takizaki - Keyence $22.6 bil
3. Masayoshi Son - Softbank $20.9 bil
4. Nobutada Saji - Suntory $10.3 bil
5. Takahisa Takahara - Unicharm $7.5 bil
6. Ito siblings - Seven & I Holdings $4.7 bil
7. Hideyuki Busujima - Sankyo $4.1 bil
8. Akio Nitori - Nitori Holdings $4 bil
9. Masahiro Noda - Obic $3.9 bil
10. Masahiro Miki - ABC-Mart $3.85 bil

もちろん日本トップ10の資産家たちは、皆さん気前が良いことでも知られてはいますが、彼らの慈善のレベルは到底世界の慈善家のレベルにはおよばないものです。日本の資産家たちも自分の会社をそのまま寄附するような日がくるでしょうか?



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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