コラム

(5)Real philanthropy ~Philanthropy, not for a name on a building, but for a real purpose~

 マーティ・キーナート


みなさんすでにご存知のように世界中の印刷メディアはこのデジタル時代に危機に瀕しています。新聞や雑誌など印刷物はすでに過去のものとされているでしょうか。アメリカの印刷業界の事態は日本よりさらに切実です。例えば日本の新聞はその主な収入を購読料から得ていますが、アメリカでは広告料が最大の収入源です。過去10年間でこの広告料は50%以下に半減しました。その結果多くの新聞社が廃業に追い込まれています。しかしながら大新聞社のニューヨークタイムズ紙、ウォール・ストリートジャーナル、ワシントンポスト紙のみは、この時代においても繁栄し続けているようです。もちろん彼らは、お膝元で根強い発行部数を誇っていますが、それとともに強いブランドネームがあるからです。このデジタル時代においてそのブランドネームを使い、彼らのデジタルコンテンツはアメリカ全国ならず、世界各国にてそのセールスを伸ばし続けています。


が、そんなブランドネームもない、小さなマーケットの地方の新聞社はその善し悪しを問わず生き残るのに必死です。そこで、私の目を引いたのはこんな記事でした。アメリカの屈指の慈善事業家がなくなったのです。HF"Gerry"Lenfest/H.F.レンフェスト、彼は亡くなる前に、彼の2番に大きな寄附金を地元ペンシルベニア州フィラデルフィアの新聞社2社に遺しました。フィラデルフィアは、アメリカのデモクラシー=民主主義が生まれたとされる場所でもあります。


レンフェスト氏は、2018年の8月に88歳で亡くなりました。彼は、"There is a lot of pleasure in life just to have your funds go the way you feel it will provide the most good."「人生での大きな喜びは、自らの資金を自分が最も良いと思うことにつぎ込めることである」と早い時期から断言していました。そして、2016年85歳の時レンフェスト氏は、ザ・インクワイアーとザ・デイリーニュースというフィラデルフィアの2つの主要な新聞社に永久に資金調達できるNPO法人を設立したのです。「ジャーナリズムを私の愛する街で生かし続ける事、それ以外に大事な事は思い浮かばないよ」と彼は語っていました。レンフェスト氏は、弁護士でありましたが、テレコミュニケーションの会社を買取りそしてそれを大きく成功させた事で莫大な資産を築きました。2000年に彼はレンフェストコミュニケーションズ社を約1500億円で売却しました。その際、彼と彼の妻マルグリットは彼らが生きている間にもしくは少なくても死後10年以内に彼らの資産のすべてを寄附すると公言しました。

                                 

そして2000年以降、レンフェスト氏は95%以上の彼らの資産を彼らが寄附に値すると考えた約1100の団体に寄贈しました。彼らの最も大きな寄附は、彼の母校でもあるコロンビア大学へ170億円、そして、次に大きな寄附は、このフィラデルフィアの2つの大きな新聞社への寄附140億円でした。レンフェスト氏が設立したNPO法人代表テレンス・イガ―氏はこう話します。「レンフェスト氏の考える地域のジャーナリズムとは、病院や図書館と同じくらいに地域に必ず必要なものなのです。もしレンフェスト氏がどうしても正しくありたいと望んだ理念を1つ挙げるとするならば、それは、間違いなく言論の自由でしょう」と。

                

どうでしょうか。学べる事がたくさんありませんか。

                

**************

マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。日米両国においてビジネス、プレイヤー双方の実経験から、日米比較や日本の教育システムにさまざまな問題を提起。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授。         

**************

       

menu