コラム

(49) How About Attending Brown University?

 マーティ・キーナート


実は、私はニュース中毒です。世界や日本のニュースを日夜聞いていないと不安になり、その情報の多くはいくつかのお気に入りのニュース番組から取り入れています。中でも長年視聴しているプログラムは、アメリカのCBSニュースの60ミニッツという老舗報道ドキュメンタリー番組です。この番組は、歴史上、最も成功したTV報道番組と言われています。1968年に始まり現在54シーズン目、数多くの報道賞を受賞したほか、複数の有名ジャーナリストも輩出してきました。この番組について特に気に入っているところは、誰に対しても手厳しく細部に渡り徹底的に調べ上げる公平な報道姿勢です。客観的であり、たとえ国家、政府、大企業、有名人であろうが正しいと思えば容赦無く真実を報道します。世界の多くの国では、このような真の報道の自由は実現不可能でありますが、米国では報道の自由は本当に「自由」なのです。

そして、日本の番組で一番好きな番組は、NHKの「クローズアップ現代」でした。この番組は少し60ミニッツに似たところがあり、特に前キャスターの国谷裕子氏がホストを勤めていた1993年から2015年までの期間、この番組の大ファンでした。残念ながら国谷裕子氏が交代してから少し番組の傾向は変わりしました。国谷氏が完璧なバイリンガルであることに加え、彼女の国際的なバックグラウンドやジャーナリストに必須の徹底的な調査能力が番組の質向上に多大に貢献していたと思います。
日本有数の女性ジャーナリストの国谷氏は、父親の仕事の関係で、ニューヨーク、サンフランシスコ、香港で育ち、高校で日本に帰国、聖心インターナショナル高校を卒業後、有名なアイビーリーグの名門、ブラウン大学に進学しました。そこで国際関係と国際経済の両学位を取得しています。

先月、この国谷氏のブラウン大学の同窓生でもあるAysha & Omar Shomanの名前が慈善事業界のニュースになりました。Omar Shomanは、「Brown Together」という大学始まって以来最大のファンドレイジングのキャンペーンの一環で、ブラウン大学に約34億円の留学生対象の奨学金基金を寄附しました。このキャンペーンで大学は既に約4,400億円を集めていましたが、このShoman氏の寛大な寄附のおかげで82億円の留学生対象のフィナンシャル基金を設立しました。

その結果、ブラウン大学は米国における全大学の中で、ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学、MIT、そしてアムハースト大学に次いで6番目に、全ての留学生がNeed Blind (合否決定において学費の支払い能力が一切考慮されない)で入学できる大学になったのです。なお、ブラウン大学はすでに米国内の学生全般に対してのNeed Blind入学は2003年から始めています。

ブラウン大学のPaxson 学長はこのように述べています。「私は、留学生たちの類い稀なる知的かつ好奇心に満ちた情熱に常に感嘆しています。世界と私たちの国は彼らの力と知恵を必要としています。私たちは優秀で素晴らしい留学生を、学費の心配なくブラウン大学に受け入れたいと望んでいます。AyshaとOmarのおかげでそれが実現できることになりました。」

そして篤志家のOmar 氏はこう続けています。
「もし環境や背景、言語の全く違う人々と同じクラスで毎日学べたとしたら、異文化はあなたの物の見方を変え、視野を広げてくれるでしょう。そしてあなたは新しい物事を何事も受けいれられるようになるでしょう。ブラウン大学は世界と同じなのです。また、このギフトが別の留学生への奨学金の助けとなり、世界のどこにおいても助けを必要とする学生へ寄附を促す事になれば、光栄です。」と。

学生たちへ、
このような世界の素晴らしい大学へも挑戦してみてはどうでしょうか?
あなた次第では、学費無料ですばらしい教育を様々な国の学生と一緒に学べるかもしれません。



**************

マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

**************

コラム一覧
       

menu