コラム

(32) Japan and American Circumstances Different, But Goals Should Be the Same

 マーティ・キーナート


今月はこの記事を書き出すのもとても辛い月となりました。ほとんどの方がご存じのように私は米国人です。そして、2021年の1月は全ての米国人にとって堪え難い苦難の月となりました。1月6日、トランプ大統領の強烈なスピーチや言動に後押しされたとみられる熱狂的支持者が暴徒化、米国の国会議事堂に押し入りジョー・バイデン次期大統領の認定会議を阻止しようと大きな暴動を起こしました。この乱闘で警官2人を含む5人が死亡しました。この悲劇は間違いなく米国史上最もショッキングな出来事の1つとなりました。

このような心が痛むニュースが続く中、明るい話題を見つけるのは至難でしたが、私はThe Chronicle of Philanthropy という雑誌の中にこのような記事を見つけました。
“Philanthropy Can’t Replace Our Broken Government — but It Can Help Rebuild It.”
「慈善事業は我々の崩壊した政府を取り替えることはできないが、立て直す事はできる!」

この記事では、国家の中枢である国会議事堂への冒涜という前例のない出来事で終幕を迎えたこの4年間は、米国にとって機能不全で混沌した時期であったが、それでも慈善事業がいかに米国を再び団結するための重要な役割を果たす事ができるのかという事を述べています。
この恐ろしいコロナウィルスのパンデミックの中、日本の死者数に比べて100倍以上にもなるである約40万人もの命が失われた米国では、多くの米国人が政府への信頼を失っています。
今一番の慈善活動は直接社会福祉事業へ行うべきで、医療従事者への防護品等の備えと供給、パンデミックによる失業者への食料配給、引き続き世界中で予防接種できるワクチンの開発と供給が緊急の課題であるとこの記事では訴えています。もちろんこのような早急の問題はもとより、気温変動への長期的な支援、テロリズム阻止への備え、将来の新たなパンデミックに備えての研究などが恒久の課題であり、そのような活動への寄附がひいては米国を救うことになるとしています。

また、政経学部出身の私が興味深く思ったのは、慈善事業は複数政党により推進される方が、米国のように民主党と共和党という事実上の二政党体制よりも上手く運用されるであろうという調査結果です。というのは、二政党制では党派の政治理念や分野に偏りがあり、せっかくの慈善活動が二極化されがちだからです。確かにここにも指摘されているように、私も人種、民族、イデオロギーの対立を超えた大きな結束が必要であると強く感じます。そして米国は、政府への自信を取り戻し再び結束しないといけません。
記事は、慈善活動は環境保全、教育システム、そして貧困の撲滅と健全なコミュニティーの確率に焦点を当てるべきであると結んでいます。

日本の環境はかなり米国とは違いますが、それでも慈善のゴールは同じであると私は信じます。



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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