コラム

(59)Japan’s Charity Rating More Than Embarrassing

 マーティ・キーナート


みなさんは、世界でNO.1のチャリティ大国がどこの国かご存知ですか?英国のチャリティエイド基金(CAF)の調査によると、インドネシアが世界第1位になっています。
CAFは95年の歴史があり、毎年世界の主な国を対象に以下3つの慈善基準に分けてランクづけしています。今年は119ケ国が対象でした。

【3つの慈善基準】
1.Have you helped a stranger, or someone you didn’t know who needed help?
あなたは、困っている他人を助けたことがありますか?
2.Have you donated money to a charity?
あなたはチャリティに金銭を寄附したことがありますか?
3.Have you volunteered your time to an organization?
あなたは、ボランティアに時間を割いたことがありますか?

インドネシアの調査結果は、
「あなたは、困っている他人を助けたことがありますか?」 58%
「あなたはチャリティに金銭を寄附したことがありますか?」 84%
「あなたは、ボランティアに時間を割いたことがありますか?」 63%
で、総合では68% でした。

インドネシアがチャリティ大国なのは宗教が大きな要因の1つでしょう。インドネシアの人口は約2億8,000万人ですが、その内の2億3,100万人がイスラム教徒だとされています。イスラムの教義の1つのZakatは、個人がその富を慈善に使う事を義務づけています。多くのイスラムの国では、このZakatが礼拝の必須の1つとされています。
金銭を貧しいものに与えるという行為は、生活するために基本的な必要額よりも稼ぎすぎた年間の収入を浄化するというのです。また、この教えを基に若い世代ではさらに簡単に早く安全に寄附できるデジタルプラットフォームが出来上がっており、それがインドネシアの慈善活動を積極化させています。

CAFによると、慈善大国2位は、ケニアです。ケニアは世界の先進国リストでは108位です。この人口5,700万人の貧しい国がどうしてこのように他人に寛容になれるのでしょうか?
理由の1つはインドネシア同様に宗教が要因であり、そしてもう1つは地域社会の結びつきの強さがあります。この国では、国民の90%がキリスト教徒です。キリスト教の教義には、tithing と呼ばれる慈善の教えがあります。自分の収入の10%を教会やその他のチャリティに毎月寄附しましょうという教えです。

Kenyan Caroline Teti氏 は、「Give Directly」 という組織のリレーションディレクターです。「Give Directly」 は寄附金を直接、ケニアの最貧困地域に振り込む慈善組織です。Teti氏曰く「私達には、地域社会の繋がりを重んじる文化があります。我々の紋章にはスワヒリ語で一言、”harambee” と書いてあります。その意味は“全員で助ける”という意味ですから」と。

ケニアの調査結果は、
「あなたは、困っている他人を助けたことがありますか?」 55%
「あなたはチャリティに金銭を寄付したことがありますか?」 52%
「あなたは、ボランティアに時間を割いたことがありますか?」 61%
総合では61% でした。

3位の国はアメリカです。
アメリカの調査結果は、
「あなたは、困っている他人を助けたことがありますか?」 80%
「あなたはチャリティに金銭を寄附したことがありますか?」 61%
「あなたは、ボランティアに時間を割いたことがありますか?」 37%
総合では59 % でした。

それでは日本はどうでしょうか?
残念ながら、日本は119ケ国中、118番目でした。
日本の調査結果は、
「あなたは、困っている他人を助けたことがありますか?」 24%
「あなたはチャリティに金銭を寄附したことがありますか?」 18%
「あなたは、ボランティアに時間を割いたことがありますか?」 17%
総合では20 % でした。

119番目の国は、カンボジアとアフガニスタンです。これはある意味頷ける結果です。両国とも長い間の内戦、国政不安定による貧困状態が続いていますから。しかし日本は違いますね。
CAFのリストの説明書きにはこのようにあります。
「日本がこのように低い結果となった理由の1つとしては、文化的な本質もあるでしょう。米国では慈善と認識されるような行為は、日本では当たり前と認識されているからかもしれません」と。
しかし私はこの説明には少し懐疑的です。日本はもう少しがんばれるのではないでしょうか。
あなたはどう思われますか?

https://www.cafonline.org/docs/default-source/about-us-research/caf_world_giving_index_2022_210922-final.pdf



**************

マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

**************

コラム一覧
       

menu