コラム

(2)チャリティの意味、大きくても小さくても~ Charity, Big and Small, all are important~

総長顧問 マーティ・キーナート


先日「Gift Giving」という会合に出席しました。そこで、ミャンマー国が”The World Giving Index (WGI)”=「世界寄附指数」のランキングで一位だというのに驚かされました。「 世界寄附指数」は聞きなれない指標ですが、イギリスのチャリティ団体 Charities Aid Foundation と、アメリカの世論調査企業 Gallup の調査による、人助け、寄附、ボランテイアに関する指数です。これは、下記の3つの質問についてを145ケ国で行った調査をもとに指数化し、それを順位付けしているものです。


1.In the past month have you helped a stranger, or someone you didn’t know who needed help?

ここ数ヶ月において、助けを必要としている見知らぬ人を助けましたか?

2.In the past month have you donated money to a charity?

ここ数ヶ月において、慈善団体等に寄附をしましたか?

3.In the past month have you volunteered your time to an organization?

ここ数ヶ月において、ボランティア組織に時間を捧げましたか?


2015年度のこの調査では、ミャンマーが1位、アメリカが2位、ニュージーランドが3位、そして日本は残念ながら145ケ国中、102位でした。

ミャンマーのチャリティ精神は、5,100万人ほどの国民の多くが敬虔な仏教徒であり、その教えを実践しているところからきているようです。仏教の教えの一つに「孤からは何も産まれてこない、この世の全ては支え合い一つの世界を形成している」とあります。そして「全ての富は社会に還元し巡らせる」という考えです。仏教にある「布施(ふせ)」と「功徳(くどく)」もこの教えから生まれてきたものです。

               

「布施」とは、財物に限らず、自分が差し出すことができるものを与える行為です。ボランティアや自分の時間も布施になります。そして「功徳」とは、現世、来世に幸福をもたらす元になる善行で、善行は必ず自分に戻ってくるとされています。この教えが浸透しているからこそ、ミャンマーのチャリティ精神は非常に高いものなのでしょう。

                

信仰は、確かに多くの社会において「与え合う」という行為に大きな役割を果たします。キリスト教社会にでは、旧聖書に“TITHE”(10分の1税)が記されている通り、農作物や家畜の1割を教会に収めること、とされていました。現在でも、世界中の多くのキリスト教会において、自らの収入の1割を収めるのが基準とされています。

                

イスラム教においては、“ZAKAT” (ザカート、救貧税)があり、信者の所有財産と収入により、2.5%から20%までを国や教会に収め、用途は貧者の救済に使われるとされています。現在のイスラム国では、このザカートは自主的になっている国も多いようですが、今でもサウジアラビア、リビア、等の国では、国に収める正式な税金として存在しています。

                

さて、前号の私の記事の題目は、「世界に広がる?与える?という文化」でした。その中で “Giving Pledge” という寄附啓蒙活動キャンペーンを紹介しました。2010年にこの“Giving Pledge”が始まる1年前、英国では“Giving What We Can”(自分ができる事を与えよう)という運動が、オックスフォード大学内のBalliol Collegeの教授によって始められました。この運動を始めたToby Ord教授は、自らも収入の大半を発展途上国のために寄附しました。そして、1年足らずで64人がこの運動に賛同し、約21億円もの寄附が集まったのです。現在では、この団体は2,000人の会員を抱え、約800億円以上の寄附金を様々な活動に支援しています。

                

この2つの運動、“Giving Pledge”と“Giving What We Can”には大きな違いがあります。それは“Giving Pledge”の支援者は世界に名だたる大富豪なのに対して、“Giving What We Can”の支援者は普通の人々なのです。“Giving What We Can”も「自分の収入の10%を、出来る事ならそれ以上を寄附しよう!」と呼びかけています。彼らは、贅沢なライフスタイルよりも、世界の片隅で困っている人々を助ける事で世界を変えようと決めたのです。

                

私は、世界中にこのように世界を変えようとする人々が大勢いることに勇気づけられました。レガシーを残したいという大富豪だけではなく、貧富や国に関係なく普通の人々にもチャリティ精神が根付いているという事に感銘したのです。そして、私もまたもっと自分の出来る事をするべきだと考えさせられました。

                

皆さんの支援に感謝します。Giving What We Can!!

                

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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。日米両国においてビジネス、プレイヤー双方の実経験から、日米比較や日本の教育システムにさまざまな問題提起を意見。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。現仙台大学副学長/2005年より東北大学特任教授兼総長顧問。      

                

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