コラム

(52)Giving time or money should be the norm

 マーティ・キーナート


英国のエリザベス女王2世の崩御を受け、女王の多大なる功績の数々が報道されています。
そのほんの少しをここでも紹介してみましょう。

彼女の在位70年は、英国の歴史上最長であり、彼女の在位中15人の英国首相が彼女と英国に仕えています。エリザベス女王は、その在位中の14人のうち、ジョンソン大統領を除く13人の米国大統領と謁見しました。
女王はまた最も多くの世界の国々を歴訪した国家元首です。
女王のイメージは、英国はもとより、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを含む世界中の33の国の通貨に使われており、これは同じ人物が使われた通貨の種類としては最大です。

しかし今回、私にとって最も印象的だったエリザベス女王の功績は、女王が600以上の慈善事業のパトロンでありそして、その在位期間中約2,900億円以上($2billion)の献金を集めたという事実でした。
中でも彼女が最も力を入れた事業は、教育と訓練、気候変動問題、病院、美術館でした。
英国のThe Charities Aid Foundation (CAF) は、女王が世界史上においても最も多くの事前事業を行った君主であったと発表しています。
CAFの執行役員であるジョン・ロー氏は、2012年のThe Guardian 新聞紙上においてこう述べています。
「女王は、慈善事業に時間と資金を費やし支援するということが当たり前であるという文化を奨励し促進したいのです。彼女の行なっているあらゆる慈善事業は、私たち全員の模範なのです」と。

女王のお気に入りのチャリティーの1つは、英国赤十字でした。彼女はその即位の3年前の1949年には赤十字社のパトロンとなっています。団体のホームページには、
“Countless Red Cross appeals for disasters and tragedies have benefited from her generous donations. The Queen has been a source of support and comfort to people during some of the toughest times in their lives.”
~ 我々は数々の悲劇や惨事を女王の寛大な寄附のおかげで乗り越えてきました。女王は、人生で最も辛い時期を過ごす人々へ心の安らぎと深い支援を与え続けてくれました〜
と記されています。

女王は政治的中立の立場を生涯守ってきましたが、今年の3月、ロシアのウクライナ侵攻勃発のすぐ後、ウクライナ難民への支援のために巨額の個人的な献金を、The Disaster Emergency Committee(大惨事危機委員会)へ行なっています。The Disaster Emergency Committee(大惨事危機委員会)は、英国において、世界的危機に関する重要な15の慈善事業の基金を取りまとめています。
ですので、彼女のウクライナ危機に瀕する人々のために行ったこの個人的な多額の献金により、その後数多くの支援者が増えました。

1957年、女王は初めてテレビで放映されたクリスマスのスピーチでこう述べています。

「今日、私たちには特別な勇気が求められています。必要なのは戦うための勇気ではなく、正しいと思うこと、真実や公正なことのために立ち上がる勇気です。私は、英国とその兄弟関係にある全ての国民に、私の心と身を捧げます」

Certainly a grand Queen, and certainly grand example to us all!



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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