コラム

(39) Let’s Defeat Global Warming

 マーティ・キーナート


昨今、地球温暖化と気候変更による大惨事は、私たちの周りで急増しています。 日本においてもここ近年の猛烈で危険な雨は、地球温暖化のせいで悪化の一途を辿っています。 私の故郷のカリフォルニアでは、史上最悪の山火事が猛威をふるいましたが、それは長期化した乾季と直接関係しています。近年のカリフォルニアでの山火事は、すでにロサンゼルスとシカゴとニューヨーク市を合わせた土地面積よりも大きいサイズの土地を焼き切っているのです。

そのようなこともあり、私は最近カルフォルニア工科大学(CALTECH) が進めるソーラーパワーシステムを宇宙に作りそれを地球にビームで還元するという壮大なプロジェクトに、毎年110億円以上の寄附が数年に渡り行われているというニュースを見て、とりわけ嬉しくなりました。
このソーラーパワープロジェクト(SSPP) は、天気に左右されない宇宙で、再生可能で入手しやすいクリーンなエレルギーを毎日無料で生成する事を目的としています。

この寛大な寄附の贈り主は、全米一緑豊かな都市選出の常連であるカリフォルニア州アーバイン市の、ほぼ全ての新設ビルディングの建設に関わる大手都市開発会社であるアーバイン開発不動産会社会長のドナルド・ブレン(Donald Bren)氏です。

ブレン氏は、カリフォルニアの資産家の一人であり、大きな影響力を誇るビジネスマンの一人でもあります。2013年当初は匿名で寄附を行っていましたが、最近このSSPPプロジェクトがようやく大きな節目を迎えたため、名前を発表するに至ったようです。

「ドナルド・ブレン氏は、スペースソーラーシステムを構築するにあたり、都市計画を進めるのと同じぐらいの情熱と規律を持って取り組んでいた」とCALTECH学長のトーマス・ローゼンバーム氏は言っています。「彼は人類に目覚ましい結果をもたらすに違いないという信念のもと、この驚くべき技術へのチャレンジをやってのけているのです」と。

このSSPPプロジェクトの最初の試験は、2023年はじめに予定されています。さらに驚くのは、ブレン氏は、この革新的なプロジェクトへの投資はもとより、これにより開発される技術に関連する経済的な利益は何も得ないというのです。これこそ本当のPhilanthropy – 慈善事業-と言えるでしょう。 SSPPプロジェクトの共同ディレクターでもあるCALTECH大のアリ・ハジミリ教授は、「彼らは本気で世界を変えたいと願っている。そしてこの技術が地球を永遠に変える機会だと信じているのです」と話します。 豊富な太陽光熱の利用は、石炭による火力発電などの時代遅れの燃料にまだ依存している世界を変えるに違いなく、また必ずこれ以上の地球温暖化を防ぐ大きな手助けになるでしょう。

東北大学でもこのような太陽光熱エネルギーへの取り組みはすでにされているとは思いますが、切実にクリーンな燃料を必要としている人類への手助けが出来るのならば、本当に素晴らしい事です。
皆の力で地球温暖化をストップさせましょう!



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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