コラム

(50) America Should Take a Lesson

 マーティ・キーナート


私はすでに大人になってからの人生の3/4を日本で過ごしています。ですから「なぜ日本に?」、「日本のどこが気に入っていますか」という質問をよく受けます。

答えは多くありますが、一番は日本が世界で最も安全な国の一つだという事です。
それだけに先日、日本で起こった安倍晋三元総理の銃撃殺害事件は、世界を震撼させたニュースであった事は間違いないでしょう。驚きの1つは銃がない国として知られる日本で、しかも手製の銃でこのような事件が起こったという事です。

それでも日本は、銃、ドラッグ問題が少ない国として世界に誇れる安全な国です。
対して、私の母国であるアメリカは、残念ながら世界一危険な国の1つになってしまいました。

2021年度、アメリカでは45,034件の銃による死亡者が報告されていますが、対して日本ではたったの1件です。
Pew Reseach Centerの2022年2月の報告書によると、2021年度のアメリカにおける死亡理由の54%が自殺、46%は殺人や事故でした。またこの報告書では、銃で自殺を図る人の90%は成功してしまうが、その他の方法だと4%しか成功しないという興味深いデータもありました。対して日本では自殺を図る人のほとんどが成功しないと言います。日本で米国のように銃が蔓延していたとしたら、その率はどうなっているでしょうか。

銃問題は米国の深刻な問題の1つであり、その解決を手助けするためのチャリティー活動は多くあります。その中でも私が感心したサイトについて紹介します。

1つは、Everytownsupportfund です。
https://everytownsupportfund.org

このサイトは、米国で毎日110人以上の人が、銃が原因で殺されている事実を伝え、その被害者の救済に当たっています。銃が原因で殺害される人の数は毎年日本で殺害される人の10倍の人数です。

もう1件は、Brady Campaign to Prevent Gun Violence です。
https://www.bradyunited.org

1981年3月3日、ロナルド・レーガン前大統領の暗殺未遂事件がありました。銃撃されたレーガン大統領は幸いにも回復しましたが、同時に銃に倒れたJames Brady首席補佐官は生涯下半身不髄になってしまったのです。

この団体が行っているBradyキャンペーンは、銃の購買や携帯の規制強化の法律を通し、それを支持する議員を選出する草の根運動を応援し、銃の暴力に対する世論を動かすために寄附を募り活動しています。

Bradyキャンペーン:https://giffords.org

このような支援団体は米国に山ほどあります。それは同時に米国の銃問題の根深さを示しているのです。安倍元総理の事件は本当に痛ましく許せない事でした。が、それでも私は銃の規制が厳しいこの日本に住んでいる事を幸いに思っています。



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マーティ・キーナート

<プロフィール>

アメリカ ロサンゼルス生。1968年スタンフォード大学卒。1969年慶応大学日本語コース修了。以来滞日40余年、一貫して日米を通じたスポーツビジネスに身をおく。2004年「東北楽天ゴールデンイーグルス」の初代ゼネラルマネージャー。仙台大学特命副学長/東北大学特任教授などを歴任。2018年よりプロバスケットボールチーム「仙台89ERS(エイティナイナーズ)」のオーナー代行兼シニアGM就任。   

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