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旧 東北帝国大学理学部化学教室棟
<東北大学本部棟1>
- 年代
- 昭和7年/昭和10年増築、平成15年・ 同25年改修
- 構造階数
- 鉄筋コンクリート造3階一部地下1階建
- 建築面積
- 871㎡
3期に分けて建設され、昭和2(1927)年に東側部分が、昭和7(1932)年には南東角部分が完成、さらに昭和 10(1935)年に南側部分が完成し現在の形となった。
正門からの通りと北門からの通りの交差点に面しており、北側の旧東北帝国大学工学部金属工学教室に合わせてスクラッチタイルや円弧を用いた意匠が採用されている。南面を正面としたファサードは東西中央の3層吹き抜けの玄関部分に太い列柱を立て、壁面は柱型を露出させて3階まで通し、西端の階段室を塔状に立ち上げた、全体的に垂直性を強調したデザイン。内部は北側に廊下を持つ片廊下の平面であり、東西の中央に3層吹き抜けの階段のある玄関がある。外壁仕上げは玄関周りが石張り、主に南・東面がスクラッチタイル張り、北面が塗料仕上げとなっている。建設当初は教授室、会議室の他、実験室が設けられた。昭和47(1972)年の理学部化学教室の青葉山移転に伴い、1階部分は医学部、理学部、文学部等の標本類を収蔵する標本室として使用、その後改修され、平成23(2011)年以降は東北大学本部が入る。平成25(2013)年には東側部分が解体。ファサードを復元する形で改築されている。
仙台市は戦災による被害が甚大であり、近代以前の歴史的建造物の多くは現在に残っていない。そんな中、この建物は建設当時から残る大玄関、垂直線が生み出すインパクトとスクラッチタイルの表情が今も美しく保たれており、これらと周囲の緑があいまって、学都仙台のシンボルにふさわしい雰囲気を片平キャンパスに作り出している。