Line-up of Leading-edge Research 最先端の研究ラインアップ
2010・8・20
脳は音と物体の動きの関係を
超短時間で学習する
2010・9・6
世界最高分解能の
スピン分解光電子分光装置の開発に成功

本学電気通信研究所・大学院文学研究科の寺本渉研究員、立教大学現代心理学部の日高聡太助教、および産業技術総合研究所の杉田陽一主任研究員らは、光と音など異なる感覚器官の情報を統合するメカニズムの学習プロセスに関する新しい発見をしました。学習プロセスに関する新しい発見をしました。すなわち、左右に動く光に合わせて高音と低音を交互に聞いた後、一定位置で点滅する光と音を呈示すると、事前に聴いた音色と動きの組み合わせを再現する形で、静止した光点が動いて見えるようになります。本研究成果は、米国の自然科学系オンライン学術誌 Public Library of Science (PLoS)ONEに掲載されました。

本学原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授と相馬清吾助教らの研究グループは、世界最高の分解能で、物質の電子状態をスピンにまで分解して測定できる「超高分解能スピン分解光電子分光装置」の開発に成功しました。開発されたスピン分解光電子分光装置を用いることで、電子のスピンが引き起こすさまざまな物質現象の解明が進み、次世代超高速・超低消費電力素子として注目されるスピントロニクスデバイスなどの開発が大きく進展するものと期待されています。本研究成果は、米国学術誌Review of Scientific Instrumentsの電子版で公開されました。

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2010・9・9
ゼリーに電極を印刷──細胞や組織に貼り付いて
一緒に動く、柔らかくて安全な電極を実現
2010・9・17
新型のトポロジカル絶縁体を発見
─次世代省エネデバイスの開発に向けて大きく前進─

本学大学院工学研究科の西澤松彦教授の研究グループは、寒天やコラーゲンなどの柔らかいゼリー(ハイドロゲル)の表面に、導電性高分子による電気回路を印刷する技術を開発しました。導電性高分子やゲルは、薬剤などが自由に透過し細胞培養への利用や、体内への埋め込みに適しています。複雑な凸凹表面にも貼り付き、さらに細胞や組織の動きに合わせて伸び縮みするので、傷付ける心配がありません。本研究はJST 戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環であり、成果の一部が米国化学会誌Journal of The American Chemical Societyにオンライン掲載されました。

本学大学院理学研究科の佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所の瀬川耕司准教授と安藤陽一教授、および東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授らのグループは、次世代省エネデバイスへの応用などで注目されている「トポロジカル絶縁体」の中で最も大きいバンドギャップを持つ新物質を発見しました。この研究は、これまでごく限られた物質でしか見出されなかったトポロジカル絶縁体が、より多くの物質で発見される可能性を明確に示したものです。本研究成果は、米国物理学会Physical Review Letters オンライン版で公開されました。

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2010・9・21
損傷のないガリウムヒ素量子ドットの形成に成功
──高効率太陽電池の実現に期待
2010・9・24
緑色光で脳神経細胞を目覚めさせる技術の開発

本学流体科学研究所の寒川誠二教授らは、ガリウムヒ素基板の無損傷加工を実現し、バイオテンプレート技術と融合して高均一・高密度・無欠陥の円盤状ガリウムヒ素量子ドットを作製することに成功しました。作製された高均一・高密度・無欠陥の円盤状ガリウムヒ素量子ドットは、量子効果を発揮する理想的な構造を実現できることから、量子ドット太陽電池あるいは量子ドットレーザーにおける量子ドット構造として極めて有望です。本研究はJST課題解決型基礎研究の一環であり、その成果は9月22日から東京大学で開催された「SSDM2010」で発表されました。

本学大学院生命科学研究科の八尾寛教授らのグループは、緑藻類の光感受性イオンチャネル(ChR) の構造と機能連関を解明し、緑色光に対し高い感受性を持ち光電効率の高い改変型ChRの、チャネルロドプシン・グリーンレシーバー(ChRGR)を世界に先駆けてシナプスに発現させることに成功しました。ChRGRと緑色LEDの時空間パターン光入力の組み合わせにより、従来の電気刺激に代わる脳を直接駆動する新しい技術になると期待されます(オプト・カレントクランプ法)。この研究成果は、米国のオンライン学術誌Public Library of Science (PLoS) ONE に掲載されました。

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2010・10・15
自己免疫疾患や、アレルギーへの治療戦略開発へ
抗体産生を調節する遺伝子回路を発見
2010・10・22
鉄系高温超伝導体の
超伝導機構の統一的理解に成功

抗体は形質細胞から分泌され、細菌やウイルスなどから体を守る役割を担っています。しかし、その産生に異常があると、膠原病などの自己免疫疾患やアレルギーの原因になることもあります。本学医学系研究科の武藤哲彦講師、五十嵐和彦教授らは、東北大学国際高等研究教育機構、広島大学原爆放射線医科学研究所のグループと共同で、この抗体産生を調節する遺伝子回路を発見しました。この遺伝子回路は、さらに研究を進めることにより、自己免疫疾患やアレルギーの治療標的となる可能性が考えられます。この発見は、欧州の学術誌The EMBO Journal(欧州分子生物学機構誌)の電子版に掲載されました。

新型の高温超伝導体として注目を集める、「鉄系超伝導体」。その特長は、異なる構成元素や配列を持つものが、多種に渡って発見されていることです。このたび、本学大学院理学研究科の中山耕輔研究員と、同・原子分子材料科学高等研究機構の高橋隆教授らのグループは、これらの鉄系超伝導体の超伝導機構が統一的に理解できることを解明し、その超伝導電子対の構造を決定することに、世界で初めて成功しました。これにより、鉄を含む多様な物質群から新たな高温超伝導体が発見されることが期待されます。本成果は、米国物理学会Physical Review Lettersのオンライン版で公開されました。

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Award-Winning 栄誉の受賞

07/27 流体科学研究所・石本淳准教授がCryogenics Best Paper Award 2009受賞
08/05 情報科学研究科・住井英二郎准教授がマイクロソフトリサーチ日本情報学研究賞受賞
08/20 薬学研究科・平塚真弘准教授が日本薬物動態学会奨励賞を受賞
08/30 流体科学研究所・寒川誠二教授がSTARC共同研究賞受賞
09/28 流体科学研究所・寒川誠二教授が米国真空学会(American Vacuum Society)のPlasma Prize受賞
10/05 情報科学研究科・芥川和雄教授が日本数学会幾何学賞受賞
10/05 情報科学研究科・篠原研究室チームがETロボコン2010東北地区大会走行部門第1位および審査員特別賞を受賞
11/03 理学研究科・大谷栄治教授が平成22年秋の紫綬褒章を受章



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