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インタビュー

米山 進
第24回 2011年1月26日更新 桜岡大神宮宮司・仙台工業専門学校 1950年卒業 坂本 壽郎(さかもと じゅろう)

「人に迷惑をかけないが人の為にもならない」という、世の中に居ても居なくてもよい様な生き方よりは、多少、人に迷惑をかけることがあっても他の人の為になる生き方の方が好きです。


「 少しでも他の人のためになる生き方が大切 」

1.これまでと現在の仕事について

○これまでの仕事とわかくさ幼稚園

 大学を卒業して最初の職場は東京海上火災保険でした。東京海上火災を退職し、東京海上日動コーポレーションに、さらにそこを退職後、平成19年1月から現在のわかくさ幼稚園の理事長となりました。
 わかくさ幼稚園は、たまたまですが私の父が創設いたしました。父はもともと繊維関係の事業を経営していましたが、戦後の不況の中で業容の縮小を余儀なくされました。その結果生じた遊休施設を活用しての幼稚園経営を、我が家が檀家として親しくしていた住職さんより熱心にすすめられ、お陰様で昭和29年に小さな幼稚園を開設することが出来ました。
 最初は現在の場所でなく、今の北十番町にありましたが、その後、人数が増えてきて狭くなってしまいましたので、今度は思い切って3,000坪以上の林間型幼稚園構想をもって、昭和39年に新開地の現在の黒松団地に移転することが出来ました。
 今となっては、大変有難いことに「広々とした園庭と自然に恵まれた山を持つ幼稚園」となっています。

○わかくさ幼稚園における教育

 現在、わかくさ幼稚園では、「体力、気力、豊かな感情を育てる」という比較的オーソドックスな基本方針で教育をしています。ただ、他園と違うかも知れない特色的内容と申せば、囲碁遊び(年中、年長の全員を対象に正課としている)と、脳トレ遊びだと思います。
 この「脳トレ遊び」とは、わかくさ幼稚園が特別顧問をお願いしている東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授のご指導のもと、園も参画して共同で開発した、脳を活性化する効果のある遊びのことです。(昨年秋に学界で川島教授よりこの成果発表があり、多方面より注目を集めました。)
 具体的には「まねっこ遊び(コミュニケーション力を養うもの)」、「氷に変身!ゲーム(自分の行動をコントロールし、我慢する力を養うもの)」、「次に何が起こるかな?(推測する力を養うもの)」、「トランプ、ことわざ、俳句遊び(記憶力を高める遊び)」等、30種類位の遊びがあります。
 毎日5分~10分程度、子ども達が笑顔で楽しく取り組むことが出来、園で行った後は、プリント等で内容を家庭にフィードバックし、継続的に家庭でも取り組んでもらっています。(親子の愛着形成にも役立ちます。)
 尚、詳しい内容は、このたび小学館から出版された書籍と付属のDVDをご覧になっていただければと思います。また、5月、6月にはテレビ番組でも取り上げられることになっていますので、よろしければ、どうぞそちらもご覧ください。

2.東北大学在学中の思い出

勉学だけでなくマージャンをしたり酒を飲んだりと、皆と一緒のごく普通の学生生活を送っていました。むしろ思い出は、大学に合格した時のこと、それから就職する時のことが一番印象的でした。良い友人、そして尊敬できる恩師の有難い思い出ですね。

○大学合格の時 ― 良い友人の思い出 ―

私は高校3年生のときに体をこわして1学期間の長期入院を余儀なくされ、勉学が大幅に遅れてしまいました。親からも、無理して大学には進学しなくて良い、大学に落ちたら家業を手伝ってくれと言われまして、私自身も、遅れを取り戻そうと懸命に勉強しながらも大学進学は、正直、自信はありませんでした。
 合格発表の日には友人と3人で掲示板を見に行きました。友人たちは他の大学を受験したのですが不合格で、私の発表の日には既にそれがわかっていました。その友人たちが私の合格発表を一緒に見に来てくれたのです。そして、意気地のないことに私は発表の瞬間、ドキドキして、掲示板の30m手前でストップしてしまい、それ以上は近づくことが出来ませんでした。2人の友人は私を置いたまま走って見に行ってくれました。彼等は私の合格が確認できた時、遠くから「合格したぞ!」と大声で叫んで手を振りながら走ってきて、自分のことの様に喜んでくれました。それまでの人生で最も有難かったし嬉しかったですね。嬉しくて宙を舞うくらいでした。

○就職する時 ― 恩師の思い出 ―

複数の会社にエントリーして内定をもらった順に就職を決定していくのが通例でした。しかし、自分が本当にやりたいことに気づいたときに芳賀半次郎先生(当時の私のゼミの教授)に相談したところ、「原則として先に決まったところに行くものだが、一生の仕事なので自分がやりたいことをやりなさい。ただ、これから就職する人に影響が出るとまずいので先ずは誠意を尽くしてお詫びすること。もしよければ私も一緒に行ってお詫びしましょう」とアドバイスしてくださり、先に内定をもらっていた会社を断るときには一緒に会社まで行ってくださいました。会社側も大変驚いて恐縮し、来年以降も採用しますので大丈夫です、と言っていただきました。芳賀先生は学生思いで厳しい中にも実に優しい博愛主義の先生です。今ふり返って有難い選択が出来たと、今でも先生に心から感謝しています。

3.同窓生へのメッセージ

私がこれまで大切にしてきた、そして今も大切にしていることばが3つありますので、それを現役の学生さんや若い同窓生に紹介したいと思います。
 まず「誠実さ」です。先ほど紹介した恩師の芳賀先生はしばしば「誠実が第一。従って、誠実さ以外の要素は隣の家が立派だというのと同じで、決して自己満足にはならない」とおっしゃっていましたが、本当にそう思いました。誠実さ、これは生きていく姿勢全体にかかわる重要なことばだと思います。
 2つ目は「親しみと信頼のバランス」です。誠実で信頼できる人であることはとても大切なことです。しかし、信頼できても堅すぎて近づきにくい人では社会人として問題があり、そういう意味では親しみやすさが必要です。しかし、親しみやすくても軽すぎたり、いい加減で信頼できない人であっては、やはりいけません。やはり「親しみと信頼のバランス」がとれた人、それが社会が求めている人材だと思います。
 3つ目は「利他主義」です。競争が激しく、将来の光が見えにくい、ややもすると利己主義に落ち入りやすい現在のような社会だからこそ、他の人のためになる生き方、利他的な生き方が大切なのだと思います。

4.東北大学に期待すること

母校である東北大学には、これからも学生、先生方、職員の方々が一体となって、日本は勿論、世界でも一流の大学であり続けてほしいと思います。それが私だけでなく同窓生皆の誇りであり、喜びだと思います。私も、同窓生のひとり、そして校友会の一員として微力ながら少しでもお役に立てる様にと思っております。






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