市民のための健康管理学


歯周病の防止へ、まめに歯を磨こう


歯は人の寿命と同じだけ使える
 乳歯が生え替わり永久歯になると全部で28本ないし32本の歯が揃います。歯数に幅があるのは、第3大臼歯(親知らず)の生えない人がいるからです。普通の人は、口中に20本以上の歯があれば、入れ歯がなくてもあまり不自由せずに生活できます。しかし我が国の現実は厳しく、加齢とともに歯を失い80歳代では平均して5本程度の歯しか残っていません。そこで80歳で20本以上の歯を保つことを目標として「8020運動」が提唱されました。
 本来、歯は人の寿命と同じ年月にわたって使えるようにデザインされていますが、このような状況は「年をとれば歯がなくなる」、「老人に入れ歯は当たり前」などといった誤った常識をはびこらせる元にもなりました。

歯を失う原因は歯垢の付着

 歯を失う原因の中で最も大きいのは歯に付着する歯垢(プラーク)です。歯垢は細菌が歯面に付着したものです。清掃が行き届かない歯間部や辺縁部(歯肉と歯の境目)に貯まりやすく、その毒素が歯周組織を破壊します。これが辺縁性歯周炎です。歯垢は水でうがいをしただけでは取れず、ブラシでこすり落とす必要があります。口がきれいな人でも歯ブラシ後、時間がたてば必ず歯垢が付着しますのでまめに歯をみがくことが必要です。

歯周疾患とはどんな病気?

 歯周疾患は、歯肉、歯槽骨など歯を支持する歯周組織の病気です。なかでも罹患率が高いのは慢性辺縁性歯周炎です。この病気はひどくなると歯の周囲から膿がでるので、一般に歯槽膿漏と呼ばれています。この病気はゆっくりと進むので、かなり悪くならないと自分で気ずかぬことが多いようです。はじめは、「口が臭い」、「リンゴをかじると出血する」などの症状ですが、進行すると「歯がぐらぐらする」、「歯の周囲から膿が出る」、「口臭がひどい」となり、更には「歯肉が腫れて痛む」ようになり、「歯に隙間が出来る」、「出っ歯になる」などの症状もでてきます。最後には歯が抜けてしまいます。

予防と治療の基本は歯みがき

 既に歯周疾患が進んだ人であっても、歯周処置で良い状態に戻し、歯垢が残らない清掃方法を修得しますと、それ以後は長期間にわたって良好な状態を維持できます。細菌の栄養源となる食片を残さないよう食後に歯ブラシを使うこと、そして時間がたてば歯垢が付きますので就寝前にも歯ブラシを使う習慣をつける必要があります。



堀内 博=文
text by Hiroshi Horiuchi

ほりうち ひろし
1936年生まれ
現職:東北大学歯学部附属病院長
専門:歯科保存学

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 全日本学生将棋
 女流名人戦で優勝

温かい応援に励まされて――
東北大学法学部3年 平澤理沙

 平成10年12月26日・27日に三重県の四日市市文化会館において、平成10年度全日本学生将棋女流名人戦が行われ、前年に引き続き出場しました。
 この大会は全国規模での学生女流名人を争うもので、かなりの準備をして臨んだのですが、実際胸の内は不安でいっぱいでした。
 初日の予選は14人出場中7人が決勝に進出することができ、3戦して2勝したものが決勝進出への条件でした。私は初戦黒星で追いつめられましたが、周囲の人の支えもあり、以後2連勝し予選を通過、前年果たせなかった目標をまずは達成しました。
 2日目の決勝トーナメントは、前回優勝者をまじえた八人で争われました。予選からの勢いをもって臨み、気分的にも開き直ることができ、初戦・準決勝ともに危うい対戦をなんとかひろい、決勝戦に駒を進めることができました。決勝は高校時代と前年の大会でいずれも大敗している相手で、どうしても負けたくないと思いました。この対局では盤上のみに集中することができ、相手の投了に対しても優勝した実感がなく、ぼんやりしていたことを覚えています。
女流名人戦で、思いもかけず優勝することができましたが、これも周囲の仲間の声援があって成し得たもので、心から感謝しています。