—小学生、中学生、高校生対象のアウトリーチ活動—

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アウトリーチ活動

「なんで?なんで?」「どうして?」「へーぇ」「すごーい」。これらは、小学校へ出前授業に出掛けたときの小学生の反応です。反応が乏しい大学生と比べるまでもなく,素直な反応です。
東北大学では,高校への出前授業ばかりでなく、小学生や中学生を対象とした様々なアウトリーチ活動をしています。アウトリーチとは手を差し伸べるという意味で、大学におけるアウトリーチ活動とは,単なる情報発信だけではなく、一般の皆さんにわかりやすい言葉で研究内容や成果を伝え、科学技術を振興する大学とその成果を享受する側が親和的・双方向的に向き合い対話していく活動のことです。

泡で金属をたたいて強くする

ここでは筆者の例などを交えて、本学機械系で行っているアウトリーチ活動を紹介します。高校はいうまでもなく、中学校や小学校を対象とした「出前授業」、東北大学と日本学術振興会主催の小学5・6年生、中学生、高校生を対象とした「ひらめき☆ときめきサイエンス ようこそ大学の研究室へ」、東北大学と仙台市教育委員会主催の中学生対象の「夏休み大学探検」、東北大学と科学技術振興機構主催の高校生を対象とした「科学者の卵養成講座」などの各プログラムを実施しております。
例えば、「泡でたたいて金属を強くする」というテーマでは、「キャビテーション」という特別な泡を使って金属をたたいて強くする最新の研究について、アウトリーチ活動用に作った実験装置を使って一緒に簡単な実験をしながら、内容を説明しています。まず空気を使って流速が増大すると空気の圧力が下がる実験を行い、次に圧力が下がると室温でも水が気化する実験をした上で、流速が増大して圧力が下がると水が泡になるキャビテーションを実際に見てもらっています。キャビテーションは、船のスクリューなどを破壊してしまう厄介者で、キャビテーションを研究するために一九四三年一〇月に本学に高速力学研究所(現在,流体科学研究所)が設立され、本学は、キャビテーションに関する研究の世界最先端を歩んでいます。
本テーマでは、小学生や中学生対象の場合には,簡単な実験を交えたお話や工作、および実験装置の見学が主ですが、高校生の場合には、大学の装置を使って実験を行い、学会(教育関係)で発表を行ったりしています。

職場見学 自動車の過去・現在・未来

東北大学機械系には、八四年前のT型フォードなどが置いてある自動車過去・未来館があり、ハイブリッドシステムのカットモデルや燃料電池車の模型などを用いて、自動車に関わる研究に関連した、自動車の過去・現在・未来と題する職場見学も実施しています。
さらに東北大学機械系への進学を目指す学生の方々に機械工学の面白さを知ってもらうために、機械系では、最新のデザイン工学、エネルギー工学、ナノテクノロジー、新素材・新材料、航空宇宙工学、バイオ工学、ロボット工学、医工学、情報工学等々、世界レベルの先端研究がぎっしり詰まったオープン講義を開催しています。


祖山 均(そやま ひとし)

祖山 均(そやま ひとし)
1963年生まれ
現職/東北大学大学院工学研究科教授
専門/機械工学、知的計測評価学
http://www.mech.tohoku.ac.jp



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