学びの杜46
東北大学大学院薬学研究科  附属薬用植物園シリーズ4
オケラ(キク科)
 オケラは、雌雄異株の多年草で、本州、四国、九州および中国北東部の日当たりのよい丘陵地に、自生しています。「山でうまいのはオケラにトトキ(ツリガネニンジン)、里でうまいのはウリ、ナスビ、嫁に食わすも、惜しゅうござる」と信州の里謡に美味しい山菜として唄われています。
 京都の八坂神社で大晦日におこなわれる朮参り(おけらまいり)ではオケラの根が焚かれ、参拝者はその火を火縄に移して持ち帰り、火種にして新年の雑煮をつくり無病息災を祈る風習がよく知られています。また、お正月になると1年の無病息災ならびに健康を祈願して飲むお屠蘇にも白朮(びゃくじゅつ・オケラの周皮を除いた根茎)が配合されています。
 白朮は漢方処方に配合される重要な生薬で、水分代謝を改善する働きがあり、健胃、止汗、利尿の目的で配合されます。
 梅雨の時期に根茎を室内でいぶすと、湿気を取りカビの発生を防ぐとされています。
東北大学大学院薬学研究科 山添 康・早坂 英記
 


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