国土計画から都市計画まで
稲村 肇=文
text by Hajime Inamura

 いま国会においては郵政改革が進行し、いよいよ国土形成計画法の審議が始まります。2005年夏には、本法案も国会を通過していると思われます。仙台市や塩釜市といった都市における都市計画も日本全体の国土計画と無関係ではいられません。国土形成計画とは従来の国土総合開発計画の内容の大幅変更に伴い、名前も変えたものであります。興味のある方は、以下のURLを参照にして下さい。


(仙台市交通局提供)

 最大の特徴は開発中心の計画から利用中心の計画への変更であり、また地方分権を強く意識し、国の作成する国土形成計画と地方が作成する広域地方計画の2本立てになったことです。広域地方計画は仙台のような大都市は別にして、人口30万人程度の生活圏を基本にして、交通計画や施設計画がなされるようになり、これは正に現在の都市計画の範囲を生活圏という単位で見直す結果となります。
 東北大学の周りでも現在、地下鉄東西線が着工されようとしていますし、仙台駅東口の再開発、長町の大規模都市開発も実施に移されています。図は地下鉄東西線を中心とした仙台市の交通網です。東北線、仙石線、仙山線といったJR線に仙台駅を中心とした南北線と東西線の地下鉄が絡み、市の中心部を構成しようとしているのがおわかりになるでしょう。この鉄軌道を中心に住宅、商業、業務機能を集中させコンパクトな街づくりをめざすのが仙台市の長期構想であります。

 こうした建設工事は、例えば北海道新幹線をはじめ、計画から完成までは10年、20年を要し、30年近くかかる計画も少なくはないのです。そこで求められるのは構想力であり、長期的展望です。従って、教育の場(授業)においてもそうした能力を身に付かせるためのさまざまな努力がなされています。
 私自身、従来から全国ベースの国土計画、地方レベルの計画、各県の長期計画、仙台市の都市計画などに長期的に直接携わっています。それほど私たちの分野は研究も教育も社会に直結しており、卒業生の多くが国や県・市と言った自治体、あるいは民間でも公共の仕事に携わっているのです。私たちの研究室をお訪ねになると理解が一層深まると思います。遠慮せず、ドアを叩いていろいろ質問していただきたいと思います。

 

いなむら はじめ

1945年生まれ
現職:東北大学大学院情報科学研究科 教授
   (仙台市都市計画審議会会長)
専門:土木計画学
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/02/020228_.html

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