アニマルシリーズ 1

ニワトリ

 今年は酉(とり)年。干支(えと)の十二支は、古代中国の占いの1つで、本来は方角や暦を表します。それぞれの方角には動物が割り振られ、酉の方角はニワトリになります。
 ニワトリの原種は東南アジアのセキショクヤケイで、これを飼い慣らしたものがニワトリとなりました。ニワトリには人間が飼養する鳥類(家禽)としての古い歴史があり、日本でも古事記や万葉集に記述が残されています。家禽としてのニワトリのスタートは、実は肉や卵を食べる目的ではなく、闘鶏(とうけい)や時告(じこく)のためだったとされています。
 やがて、ニワトリに卵を産ませ、時には特別なご馳走として鶏肉を食するようになり、日本人の食文化としても定着しました。現在、世界には約百億羽ものニワトリが飼育されており、広く肉や卵が利用されています。採卵養鶏に最も大事なニワトリの「雌雄鑑別法」は、日本人が開発して世界に広まった極めて優れた技術です。また、日本人の鶏卵年間消費量は1人当り345個であり、世界で最も多くの卵を食べていることをご存じですか。
 2004年末には、ニワトリの野生種(Gallus gallus)の染色体遺伝子が解読されました。鳥類で全ゲノム解読が終了したのは、これが初めてです。遺伝子情報は進化や生命現象の謎を解くカギとなりますので、ニワトリの研究も今年は大きく羽ばたく年になるでしょう。

東北大学は2007年に
創立百周年を迎えます

(東北大学大学院農学研究科 渡邊康一・齋藤忠夫)