環境・人に恵まれた
 ハイブリッドな仙台生活

Message from OB

OBからのメッセージ
 私の中の「東北大」


梅原 誠
=文

学生時代のゆるやかな時間

 私は1958年に入学、最初は多種の桜が交替して長期間咲く富沢校舎で学び、その年の夏休み明けには米軍キャンプ跡地の川内校舎でした。警職法やその後に続く60年安保の騒動が吹き荒れる、数年でもありました。元々緑の多い杜の都仙台ですから、どのキャンパスでも緑に囲まれ教官の講義を楽しむことができました。
また、入寮した長町の有朋寮での思い出は、数知れないものでした。どてらを着て東一番丁を練り歩く寮祭。1・2年生240名を、例えば社研、英会話などと、それぞれの小グループ分けした特色ある並びの部屋を行き交っての、深夜までの語り合い。Y歌など特別の文化を醸す種々の替え歌の指導を受け、レコード鑑賞会やフォークダンスにも参加。それらは、受験生活を忘れさせる新しい刺激でした。
 深く付き合った「富澤=川内みんなうたう会」や、塩釜の艇庫に合宿して漕いだ工学部端艇(工端)のボート、夏のヨットやアイスホッケーも、今となっては懐かしい思い出であり、まさに、Freut euch des Lebens, weil noch das Laempfen glueht, Pflickt die Rose eh ‘ sie verblueht(18Cドイツ古謡「楽しめ 光輝ける間に、薔薇を摘め 咲ける時」)でした。 
 うたう会のメンバーとは、卒業後も何回か会合を持っています。指導教官で火山学専攻の八木教授の優しさを学び、当時は指揮者候補の弟である小澤征爾さんを気遣っておられたドイツ語の小澤先生は、今はご子息が有名なテレビ俳優と伺いますが、その昔は部室には殆どおいでにならず、番丁のうたう会のコンパでドイツリートを歌われ、うっとりしたものでした。
 教養課程での先生、先輩、同級、後輩の人たちはもちろん、寮やクラブ活動で付き合った他学部の人たちも、それぞれに面白く、いまだにそれぞれに時々集まっているのですが、本当に総合大学で良かったと思います。住む社会も、環境も、友人、知人も、ごちゃ混ぜの良さと豊かさ=これが私の仙台生活でした。

東北大学は「鉈」、剃刀ではない

 専門課程では、既に講座を持って居られず、時々の特別講座で訓育頂いた歯車の成瀬教授をはじめ、燃料噴射の棚沢教授、直接ご指導頂いた機構学の酒井教授など、より良き師との出会いに恵まれました。小さい学科ながらその分、より深くいろいろな先生や先輩、同級に刺激され、教えられました。
 個人的には自動車産業に行くのを諦めて、「海外に行ける機会あり」と言う先輩のお言葉と引きで、今の会社に入ることになりました。会社の歓迎同窓会で早速、「東北大卒は決して切れ味良い剃刀ではなく、鉈のように力強い行動力で、粘り強く仕事を進めるように」とのご託宣を頂戴しました。以来、その呪縛から解かれることなく、仕事にも遊びにも不器用にただひたすら進めてきました。今後も日本人の特質に合う精密工業の隆盛を強く願って、いまだに現役を続けております。
 同級生たちの持っている共有の雰囲気、粘りのあるネアカで包容力ある民族、我が東北大よ、永遠なれです。


うめはら まこと

1939年生まれ
出身学部:東北大学工学部精密工学科 卒
現職:シチズン時計株式会社勤務
   (代表取締役社長)
http://www.citizen.co.jp/


I N F O R M A T I O N
東北大学100周年記念セミナー
「科学が次の100年で創り出せること」

●目 的:次の100年間に人類社会が直面する課題に対し、科学がどこまでどのような貢献をなし得るのかを探求します。
●開催日: 2005年1月25日(火)
●会 場:日経ホール(日本経済新聞社 東京本社8F)
●第1回:「ナノが創る未来の世界―機械工学の挑戦―」
      2006年3月まで、5回開催いたします。
●問い合わせ先:総務部百周年記念事業室
 TEL.022-217-5059
 このセミナーに関するお知らせは東北大学HPに掲載いたします。
 http://www.tohoku.ac.jp/seminar100/

産学官フォーラム2005
●開催日:2005年2月4日(金)
●対象者:一般市民、民間企業、官庁、大学関係
●会 場:仙台国際ホテル
●お問合せ先:電気通信研究所総務課研究協力係
 TEL 022-217-5422  FAX 022-217-5422
第4回 発明工房 科学教室
●開催日:2005年3月22日(火)〜 31日(木)
●対象者:小学生30名
●会 場:創造工学センター
●問い合わせ先:創造工学センター 山中 将 副センター長
 TEL 022-217-6912

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