東北大学を「食農連携」の拠点に

Message from OB

OBからのメッセージ
 私の中の「東北大」


鈴木 建夫
=文

 つくばにある農林水産省所管の独立行政法人・食品総合研究所は、唯一の国立食品研究機関で、70余年の歴史を持っています。その所長、制度改変による理事長とを併せて、四年半勤め、食品研究全般について思い巡らす機会を得ました。この間に、病原微生物O‐157事件、BSE(いわゆる狂牛病)事件、偽装表示問題など食に関するトラブルが頻発しました。フランスの生理学者で法律家、グルメの元祖でもあるブリア・サヴァランは、「国民の盛衰はその食べ方のいかんによる」と述べていますが、日本再生の原動力は「食べ方を知る」ことにあると痛感しています。
 日本の国民総生産は5百兆円を前後しますが、農林水産業のそれは約十兆円程度に過ぎません。しかしながら、日本の7つの製造業種中、第3位にある食品製造業は34兆円、関連の流通業は29兆円、外食産業は25兆円と、食品産業の経済的寄与は90兆円に近いのです。そして、消費エネルギーに換算すると日本全体の59%を占める農産物の輸入にかかる経費7兆円も含めれば、農林水産業と食品産業(食農連携)の合計額は、実に百兆円を上回ることになります。
 私は、東北大学・農学部に食糧化学科ができたことを知り、「日本で最初の・・・」の謳い文句に釣られて入学しました。在学中に食べ方を学んだのかといえば、反省大なるものがありますが、およそ研究の必須条件は、天の時、地の利、人の和であることを学びました。
 天の時とは、研究が社会的ニーズに合致しているか否かをさします。わが国は、65歳以上の高齢者人口比率7%〜14%と定義される高齢化社会を過ぎ、20%を間近にした超高齢社会に入っています。国民医療費の高騰を抑える意味でも食は大切です。即ち、日本の死亡原因を見ると、事故・自殺が約25%、感染症が約10%で、過半の約65%は生活習慣病であり、食に起因するところが大きいのです。
 地の利とは研究を行う立地(周辺環境)などをさしますが、食料生産の中核を担う東北は、食農連携具現化の地域として最適な条件を備えています。人の和とは、教えていただける人、協力してくれる人、手伝ってくれる人をさします。総合大学としての東北大学に期待するのは、この人材の豊富さにあります。
 日本全体を元気にするために必要な食農連携の中心が東北であるためには、東北大学が中心となることが必要です。食品は複雑なマトリックスであり農学部だけでは問題は解決せず、全学挙げて取り組むべきと考えます。と、ラッパを吹いていたら現職を得ました。見る人は見てるもので、やれるものならやってみろ、かも知れません。皆様方のご協力も得ながら、「食べ方」の新しい方向を模索したいと考えています。

すずき たてお

1943年生まれ
出身学部:東北大学農学部食糧化学科
現職:宮城大学・教授
   (17年度開学予定の食産業学部担当)


I N F O R M A T I O N
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