雑木林の妖精カタクリ

 春を告げる木がコブシなら、草花は何といってもカタクリだろう。ピンクから紅紫色の篝火のような花が、陽光でまぶしい雑木林一面に咲いている。まるで妖精があちこちと飛び交っているようだ。子供の頃はどこにでも生えていたが、都市化が進むにつれどんどん減少している。青葉山丘陵は、今でもそんな妖精にすぐに会える貴重な場所だ。わが植物園は、今、森林の成長に伴って林の中が暗くなり、カタクリが減少しつつある。立派な森へと育っていくのは嬉しいが、妖精が減っていくのはちょっぴり寂しい。そんな折しも4月1日の開園からカタクリの生活をテーマにした特別展が開かれる。野外ではまだ咲きださない時期ながら、いきいきしたカタクリの花が皆さんをお迎えしてくれる。

(理学部附属植物園長 鈴木三男)