東北大学附属図書館 所蔵資料紹介1
「漱石文庫」

 「漱石文庫」は、本学が所蔵する貴重なコレクションのなかでも、最も著名であり、文豪夏目漱石の旧蔵書約三千冊と日記・ノートの自筆資料など七百点からなっています。漱石の資料が本学に譲渡されることになったのは、漱石の愛弟子小宮豊隆が本学図書館長であったという関係から、東北大学で保管することになりました。小宮豊隆は、 漱石の小説『三四郎』 の主人公のモデルであるとも言われている人です。
 『三四郎』の広田先生が引越しをする場面で、手伝いにきていた三四郎は勝手に先生の本を読み始め、友人から「あとで借りて読め」と注意されています。漱石の蔵書も、弟子たちに借り出されていたようです。漱石文庫のなかには漱石が貸した本の記録帳があり、小宮豊隆の名前も記されています。
 漱石の旧蔵書で注目されているのは、漱石による書込みです。ある本には「面白イ。然シ要スルニ愚作 ナリ。」といった調子の批評などが書きつけられており、漱石の人となりが偲ばれます。  表紙は漫画家として知られている岡本一平(芸術家岡本太郎の父・作家岡本かの子の夫)の描いた夏目漱石の像で、岡本一平は、朝日新聞に漫画を掲載していましたが、漱石がそれを本にまとめて出版するようすすめ、序文も漱石が書いています。
 「漱石文庫」は貴重図書扱いのため、インターネットで手帳、日記等が公開されており、原資料はマイクロ ・フィルムで利用できます。
(http://www.library.tohoku.ac.jp/)

(東北大学附属図書館)