まなびの杜 創刊のごあいさつ

学術、文化の拠点、東北大学を市民の財産に

総長 阿 部 博 之

あべ ひろゆき

1936年東京都生まれ

東北大学総長

専門:材料力学、固体力学

 東北大学は1907年(明治40年)、3番目の帝国大学として創立されました。東北大学は開学に当たり、正規の授業に先立って、市民への公開講座を開設しました。この伝統は、その後も受け継がれ、大学教育開放センターを教育学部に設けたり、東北放送等のご協力により、テレビ時代の市民向け講座を、他大学に先駆けて開始しており、現在も、ラジオと合わせて継続しております。

 戦前東北大学は、産学協力や新産業のメッカであり、いくつかの会社が仙台の地に誕生しました。しかし戦後の産業構造は、新産業に追い風ではありませんでした。これからは違います。大学が新産業の発達の中心にならなければわが国の未来はありません。東北インテリジェント・コスモス構想もその一環です。

 本年4月から、わが国の産学の拠点となる未来科学技術共同研究センターと文系、理系の歴史的遺産を集約した総合科学博物館を設置します。前者は、経済学研究科の地域経済開発のグループと知恵を出し合いながら、民間企業との共同研究で未来の産業の核を創り出す拠点として、熱い視線を受けています。大学が新産業の発信の中心になることで、わが国の未来も拓かれていくと考えています。一方、後者は、国宝等貴重本を持つ全国有数の附属図書館、また、天然記念物を持つわが国唯一の大学植物園(理学部附属)とともに市民の方々の「知の森」として、市民の財産にしていただければ幸いです。

 大学は学術、文化の拠点でなければなりません。それによって、わが国は初めて真の先進国の仲間入りとなります。就職するまでの間、単に在籍する学校であるという戦後の大学に対する社会的認識を、本来の姿に戻す必要があります。このためには市民の皆様に東北大学を知っていただくことが大切です。このような目的で、「まなびの杜」の発行を企画いたしました。この紙面が、大学からのメッセージとともに、多くの市民の方々からのご助言や、ご提案を寄せていただけるメディアとなりますことを、切に願っています。

東北大学正門

 正門は広瀬川をはさんで伊達政宗公の霊廟(瑞鳳殿)に向かっており、大正14年に建立されたものである。