OBOGメッセージ”


大槻幹雄 関東萩友会会長

パンデミックに悩まされている諸君に行く末を期待す ~戦略的発想の育成~

新型コロナウイルスとその対応に悩まされ、学業に専念出来ず残念。しかし、この様な悩み、変化の時こそイノベーティブな発想が育むチャンスと捉えるべきでしょう。

失われた30年」と言われております。即ち、経済的に見ると、日本の名目GDPは世界経済に占める日本経済のウェートを見ると、1989年の15%から今や6%とその凋落ぶりがよくマクロ的に見て取れる。また、日本の研究者が発表した論文がどれだけほかの論文に引用されているのかを示す「TOP10%補正論文数」というデータでも、ほとんどの部分で日本以外の先進国や中国に代表される新興国に抜かれてしまっている。今や先進国とは名ばかりの状態なのかもしれない。日本の科学技術力も、この30年で大きく衰退してしまった。
日本人のものの考え方は半導体の対応でもよく分る。日本は単純に集積すればよいメモリに特化し、総合的にシステムとして捉えねばならないCPUは世界に伍していかなかった。また、危機意識の欠如、危機管理の弱さ、科学的根拠もない楽観思考の場当たり主義的で有事に弱い。戦前・戦中の対応と今のコロナ対応を対比して同じ対応になっているとの指摘もある。
ただわれわれには国家の危機を乗り越えた時代がある。此処で歴史を振り返って見ると、明治維新と戦後の復興に学ばねばならないだろう。これが出来たのは、もっとも優れた人材が、意思と能力をもって衆知を集めて取り組んだ結果である。

大槻幹雄 関東萩友会会長

一つは、明治維新であり、ご存じの通り、多くの幕末の志士が知行合一の理念のもとに新しい国の在り方を学び、行動し、江戸幕府を崩壊させ、中央集権統一国家の建設と日本資本主義形成の起点となった政治・社会的変革である。また、驚くべきことは、廃藩置県を成し遂げたことである。司馬遼太郎はこう述べている。「君臨していた大名が一夜にして領地を取り上げられ、武士がすべて失業。この様な無理が通ったのは、日本人が共有していた危機意識のおかげ。亡ぼされるという共通の認識と恐怖がいかに深刻であったか。当時の日本人たちに尊敬を感じる」(「明治という国家」より)。まさに、日本史上、最大の社会変動であり、革命としか言いようがない。
二つ目は、焦土と化した戦後の日本社会を見事に世界第二位の経済大国(当時)に復興させたのは、当時の政治、経済に携わった方々にも敬意を表したい。
この様に、我々は歴史に学ばねばならない。もう一度、失われた40年を歩き始めたかもしれない日本にとって、今後は失われただけでは済まないだろう。そして、目に見える形で身を切る改革をしなければ、今度は「崩壊する10年」になる可能性が高い。

歴史を振り返っても分る様に、物事を早期に全貌を捉え、戦略的な発想をもって、在るべき姿を描き、どう対応すべきかの行動過程を立てられる思考を育むべき。そこには、リスクマネージメントや総合的思考が当然含まれる。
しがらみのない若い人たちに国の将来をゆだねるしかない。今こそ、行く末に備え、戦略的発想の育成に育むべき時と思う。


Recommended Message

Coming Soon!



TOPへ