石碑は、春になると桜の名所として人々が花見を楽しむ憩いの場にたたずむ。東北大学の、また仙台の発展を見守り続けている。

キャンパス散策

『桜並木と「法文学部発祥」の記念碑』


 東北大学事務局の前の中庭は、桜の名所でもある。毎年4月半ばには、年を経た桜の木々が豊かに花を咲かす。その紅い花々は、隣接する赤松・黒松の緑と映りあってこの世にいわば別天地を開き顕し、仙台市民をここにいざなうのである。
 桜の木々のかたわらに一つの石碑が立つ。東北大学の法文学部(文・教・法・経の四学部の前身で、大正11年=1922年の開設、昭和24年=1949年まで存続)の創設50周年を記念して、昭和48年=1973年に建立されたもので、「法文学部発祥之地」の八文字が刻まれている。これらの文字は、中国唐代の『開成石経』から集字したもので、強さと気品とをそなえ、碑全体が堂々たる風格を保持している。仙台に存する諸碑のうちの名品といってよい。
 東北大学法文学部が、豪華な教授陣を擁し、卓抜な業績を世に送り出し続けた事実は、日本学術史上の一偉観であった。この碑は、法文学部の過去の栄光を踏まえ、さらに学内外の人々に未来における学術の真の発展を求めるかのように、静かに・確然と立っている。

文学部教授 玉懸 博之




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編集後記

 文学部では今年度の大学院入試のポスターに「若者よ、学びの杜へ」というフレーズを大書しました。『まなびの杜』を、東北大学と杜の都仙台のアイデンティティーの一翼を担う大きな杜に育てていきたいものです。3月には、阿部次郎ら、東北大学関係者も焦点となる仙台文学館が開館しました。学都仙台の歴史と文化をかみしめる好機です。
 幸い、前号でも紹介した東北大学出版会の『父 阿部次郎』が大変な評判を呼んでいます。頁をめくりながらあらためて痛感するのは、向山の東洋館などを舞台に、戦前の帝国大学の時代には、阿部先生と医学者の熊谷岱蔵元総長や原龍三郎・木下杢太郎先生らとの交友をはじめ、学部横断的な交流が活発になされていたことです。総合大学・東北大学の原点、学都仙台のベル・エポックをかいま見る思いがいたします。
 専門分野の著しい現代においてこそ、領域横断的な総合的な知性が求められています。本紙が、市民とキャンパスを結び、さまざまな知的越境と交流を刺激するメディアとなることを願ってやみません。

まなびの杜編集委員  長谷川 公一