シリーズ 代替エネルギー2
エネルギーと社会
中田 俊彦=文
text by Toshihiko Nakata


代替エネルギーの三つの方向性

 代替エネルギーは、大きく三つに分けられます。一つめは石油代替燃料、二つめは自然エネルギー、三つめはバイオマスエネルギーです。
 第一の代替エネルギーは、70年代の石油危機の経験をふまえて、枯渇が予想される石油の消費を減らすために考えられました。石油よりも資源量が豊富な石炭を使う、石炭液化の研究が開始され、さらに天然ガスの採掘が盛んになりました。あわせて、原子力発電の実用が急速に進められました。
 90年代に入ると、二酸化炭素を排出しない自然エネルギー利用への関心が高まりました。これが、第二の代替エネルギーです。太陽電池、風力発電、地中熱を利用するヒートポンプ、水路の落差を利用する小水力発電など、さまざまなエネルギー変換技術が誕生しています。
 第三の代替エネルギーとして、最近バイオマスが注目を集めています。たとえば、木材をペレット状にして燃やすストーブ、廃材を薄切りにして燃えやすいガス成分を取り出すガス化発電、家畜の糞尿や生ゴミを発酵させてメタンガスを取り出すバイオガス、廃食油や菜の花からディーゼル燃料を取り出すバイオディーゼルなど、多岐にわたります。カーボンニュートラルといって、もともと自然界に存在する植物を材料とするので、燃やした際に出る二酸化炭素をカウントしません。
 代替エネルギーを考える際には、エネルギーの種類だけではなく、消費者の生活様式も重要です。どんなに新たなエネルギー源を開発しても、無駄使いしては水の泡です。省エネルギーは、欧米ではエネルギー効率ともいわれ、エネルギーをどれだけ有効に利用するかが問われています。このためには、消灯などの節電といった身近な節約だけでなく、白熱灯から蛍光灯への取り替え、断熱材や断熱ガラスを取り入れた住宅へのリフォーム、燃費の良い自動車への買い換えなど、長期的なマネープランとも密接に関わってきます。

社会の要請に応えるエネルギーシステムの構築
 さまざまな種類の代替エネルギーの出現によって、それを有効に使う技術も大きく進展してきました。私たち研究グループは、複雑多岐なエネルギー資源を上手に組み合わせる、エネルギーシステム設計の研究を進めています。発電方式に火力発電や水力発電があるように、エネルギーの種類は豊富です。各種エネルギー資源の長所や短所を互いに補完して、経済的かつ利便性に優れる総合システムを設計しています。
 特に、自然エネルギーやバイオマスは、地域の気象条件や産業構造に大きく依存しています。したがって、熱効率やコストなどの従来の指標に加えて、利便性、地域の暮らし、地球環境なども考えて、社会にとって好ましいエネルギーシステムを構築することが求められています。私たちの研究では、これまで客観的に捉えることの難しいこれらの指標を定量化して、技術の最適化だけではなく、社会システムの望ましい姿について、コンピュータを用いるモデル解析を通して明らかにしてきました。これからも、地域社会にしっかりと根づく、夢のあるエネルギーシステムを提案していきます。
 終わりに、エネルギーは代替できますが、人生は取り替えが効きません。エネルギーを大切に使いつつ、どれだけ実りあるアウトプットを生み出すかは、みなさんの考え次第です。


なかた としひこ

1960年生まれ
東北大学工学研究科教授
専門:熱工学、経済工学
http://www.eff.most.tohoku.ac.jp/

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