▼粟野観音像(昭和10年建立)


キャンパス散策〔雨宮構内〕

旧制二高北六記念苑

竹内昌昭(農学部教授)  

 農学部正門を入り直ぐ右手に木造の門衛所がある。この建物は旧制第二高等学校が、開校(明治20年)の地片平丁から移転してきた大正14年当時のままである。また、キャンパスの赤レンガの塀も当時のものである。  旧制二高は昭和20年7月の空襲で校舎の大半を焼失し、9月に三神峯の幼年学校に引っ越している。この間に二高卒業生の約半数にあたる6,275名がここで卒業している。
 正門から左手奥の木立ちのなかに、粟野観音像を中心に、二高魂「雄大剛健」の碑や中杉山明善寮分散歌碑などが配置された旧制二高北六記念苑がある。この観音像は二高で40年間英語の教授をつとめた粟野健次郎の記念像として昭和10年に建立されたもので、戦後二高とともに三神峯に移され、その後川内を経て昭和53年に現在の位置に復元している。自然石の台座も創建当時のものである。



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●「まなびの杜」をご希望の方は各キャンパス(片平、川内、青葉山、星陵、雨宮)の守衛室、附属図書館、理学部自然史標本館、附属植物園、病院(医病・歯病・加齢研病院)の待合室などで手に入れることができますので、ご利用ください。
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編集後記
 ヨーロッパの古い大学は、街並みの中に埋もれていることが多いものです。散策中にふと気がついてみたら大学の建物の中に入っていた、などといった経験をお持ちの方は少なくないと思います。このことは立場を変えれば、大学人も構えずに一般の街並みに足を踏み出さざるを得ない造りになっている、ということです。
 それなのに、ゲッチンゲン大学やハイデルベルグ大学などで見られた学生牢の精神は大学内における自治という名によって脈々と受け継がれているようです。外に向かって権利だけを主張し、自己の責務を回避するところに自治が存在したためしがないと言えます。21世紀の大学は、目新しい知識・技術のみならず、かなり長期間置き去りにされていた精神的・人格的なinteraction (相互啓発)のようなものも発信できるようにならなければなりません。そして、そのことは市民との連携を抜きにしてはなし得ないでしょう。『まなびの杜』がその礎となることを期待してやみません。

(まなびの杜前編集委員  矢嶋 聰)