古写真でみる東北大学4

「ミミズクのいる学舎」

―理学部気象観測室―(昭和10年頃)





 ギリシャ神話の学問神・アテナの使いであり、古来学問のシンボルと崇められてきた神鳥・ミミズク。これをモチーフにしたステンドグラスが、写真の理学部気象観測室にかつて飾られていました。
 片平キャンパス内にあったこの建物は、かつて「佐野シルク」のブランド名で内外に名をはせた、伊具郡金山町(現丸森町)の絹糸商・佐野理八氏から大正10年に大学に寄付されたものです。以前から中央気象台技師・岡田武松氏の指導のもとで気象データを養蚕に活用していた佐野氏が、岡田氏の東北帝大講師兼任を契機に寄付したのでした。
 その後、地球物理学科の教室となったこの建物は、戦争をくぐり抜け、昭和40年代まで使われていました。昼夜関係なく数多くの研究をここで見届けてきたミミズクは、建物が取り壊された現在、東北大学史料館の展示室に移されて静かに暮らしています。
(東北大学史料館研究員 永田英明)