東北大学基金グローバル萩海外留学奨励賞

異文化理解の力を大きく養うことができた留学経験

私は、2017年8月から2018年7月までの約11カ月間スイス連邦工科大学ローザンヌ校へ留学をしてきました。この留学を通して、様々な出会いがあったり、様々な経験をしたりしましたが、ここではその中から特に自分の中で大きく変化したものや大きく印象に残ったことなどについてご報告したいと思います。

まず、留学を通して自分の中で最も大きく変化したものは、海外というものに対する価値観です。留学前、私にとって海外というものは旅行に行ったり、学生時代に留学に行ったりするための非日常的で特別な場所でした。しかし、こうして約1年間海外で生活をしてみると海外というものは特別なものでなく、日本と同じようにその土地の人々が暮らす日常でしかないということを実感し、海外に出ること、暮らすことに対する抵抗感や特別感というものが良い意味でなくなりました。そのため、今では自分が考える行動の範囲が国内だけでなく海外というところまで広がり、自分の世界が何十倍、何百倍にも拡大しました。それとともに、これまでは将来海外で働くことに対しては一種の憧れのような感覚を持っておりましたが、今ではそれをもっと現実的なものとして考えられるようになりました。また、そのことにも関連しますが、この一年間を通して自分に自信や度胸がついたように感じます。留学前は、英語で外国の人と会話をすることにもかなりの苦手意識、抵抗感があり、なかなか自信をもって英語を話すことができませんでした。しかし、今では英語を話すことに対する抵抗感はなくなり、留学前は自分には絶対に無理だと思っていた自分だけの力で海外に一人旅に出ることさえ全く抵抗感なくこなせるようになりました。

また、自分の中で特に印象に残ったことは研究室が非常に多国籍であったことです。もちろん、私の留学目的の一つには、海外のグローバルな大学で様々な国からやってくる人々とともに英語を共通言語として私の専門分野である化学について研究活動を行ってみるというものがありましたが、留学前の予想では、私の留学先はスイスの大学ということもあり、研究室のメンバーはかなりの人数がスイス出身ではないかと考えていました。しかし、実際に研究室に行ってみると、ドイツ人やフランス人などヨーロッパ出身の人はもちろん、中国人やシンガポール人、ベトナム人などアジア出身者も多く、さらにスイス人は1人しかいませんでした。こうした環境で英語を共通言語として日々活動したり、そのような多国籍な人々と交流したりする中で、英語力を向上させるだけでなく、それぞれの国出身者が持つ雰囲気や人との距離感の取り方など異文化理解の力も大きく養うことができました。

以上のことを含め、この留学はこれまでの人生の中で最も充実していた期間だったと言えるほど様々な経験をすることができた非常に密度の濃いものでした。この度は、奨学金という形で私の留学に対して多大なご支援をいただき本当にありがとうございました。

留学先:スイス連邦工科 大学 ローザンヌ 校(国名:スイス)
理学部4年 児玉 祥太