p1    国立大学法人東北大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的考え方及び留意事項 平成28年3月23日 理事(人事労務・環境安全担当)裁定  国立大学法人東北大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程(以下「規程」という。)第3条及び第4条に定める基本的な考え方及び留意すべき事項は、以下のとおりとする。 第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方(第3条第2項関係)  規程は、職員が、障害者に対して、不当な差別的取扱い、すなわち、正当な理由なく、障害を理由として教育研究その他国立大学法人東北大学(以下「本学」という。)が行う活動全般に参加する障害者に機会の提供を拒否し、又は提供に当たって場所若しくは時間帯などを制限すること若しくは障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。  ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いではない。  このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる教育研究その他本学が行う活動全般について、本質的に関係する諸事情が同じ場合に、障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 第2 正当な理由の判断の視点(第3条第2項関係)  正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、教育研究その他本学が行う活動全般について機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。本学においては、正当な理由に相当するか否かについて、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益及び本学の教育研究その他本学が行う活動の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、過重な負担を求めるものではなく、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。 第3 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例(第3条第2項関係)  第1及び第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが、不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は、次のとおりである。  なお、次に掲げる具体例については、正当な理由が存在しないことを前提とし、また、次に掲 p2 げる具体例以外でも不当な差別的取扱いに該当するものがあることに留意すること。 ○ 障害があることを理由に窓口対応を拒否し、又は対応の順序を後回しにすること。 ○ 障害があることを理由に資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウムへの出席等を拒むこと。 ○ 職務の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来学の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりすること。 ○ 障害があることを理由に本学への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加を拒むこと。 ○ 障害があることを理由に施設等の利用やサービスの提供を拒否すること。 ○ 障害があるために必要な情報保障手段(ノートテイクや手話通訳など)を用いることを拒否すること。 ○ 試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に成績・評価に差をつけること。 第4 合理的配慮の基本的な考え方(第4条第2項関係) 1 合理的配慮は、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。 2 障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものであるとの考え方を踏まえ、合理的配慮は、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でなく、教育研究その他本学が行う活動の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。 3 合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。  また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。 4 規程第4条の「意思の表明」については、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意するとともに、意思の表明がない場合であっても、当該障害者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障害者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。 第5 過重な負担の基本的な考え方(第4条第2項関係) p3  過重な負担については、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、次の各号の要素等を考慮し、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、職員は、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。  一 教育研究その他本学が行う活動への影響の程度(その目的、内容、機能を損なうか否か)  二 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)  三 費用・負担の程度  四 本学の規模、財政・財務状況 第6 合理的配慮に該当し得る配慮の具体例(第4条第2項関係)  合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は、第4で示したとおり、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要があるが、具体例は、次のとおりである。  なお、次に掲げる具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提とし、また、次に掲げる具体例以外にも合理的配慮は多数存在することに留意すること。 (物理的環境への配慮の具体例) ○ 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、案内する者の位置について、障害者の希望を聞いたりすること。 ○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場等の座席位置を扉付近にすること。 ○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりすること。 ○ 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図ること。 ○ 車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと。 ○ 図書館やコンピュータ室、実験・実習室等の施設・設備を、他の学生等と同様に利用できるように改善すること。 ○ 移動に困難のある学生等のために、普段よく利用する教室等に近い位置に駐車場を確保すること。 ○ 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡したり、図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりすること。 ○ 移動に困難のある学生等が参加している授業で、使用する教室をアクセスしやすい場所に変更すること。 p4  易疲労状態の障害者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めるとともに、休憩室の確保が困難な場合、教室内に長いすを置いて臨時の休憩スペースを設けること。 (意思疎通の配慮の具体例) ○ 筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を活用すること。 ○ 授業や実習、研修、行事等のさまざまな機会において、手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイク、補聴システムなどの情報保障を行うこと。 ○ ことばの聞き取りや理解・発声・発語等に困難を示す学生等のために、必要なコミュニケーション上の配慮を行うこと。 ○ シラバスや教科書・教材等の印刷物にアクセスできるよう、学生等の要望に応じて電子ファイルや点字・拡大資料等を提供すること。 ○ 聞き取りに困難のある学生等が受講している授業で、ビデオ等の視聴覚教材に字幕等の情報を補いながら用いること。 ○ 授業中教員が使用する資料を事前に提供し、事前に一読したり、読みやすい形式に変換したりする時間を与えること。 ○ 事務手続きの際に、必要に応じて職員等が書類の代筆を行うこと。 ○ 聞き取りに困難のある学生等に対し、手続きや申請の手順を矢印やイラスト等でわかりやすく伝えること。 ○ 比喩表現等の理解が困難な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明すること。 ○ 口頭の指示だけでは伝わりにくい場合に、指示を書面で伝えること。 ○ 授業でのディスカッションに参加しにくい場合に、発言しやすいような配慮をしたり、テキストベースでの意見表明を認めたりすること。 ○ 入学試験や定期試験、または授業関係の注意事項や指示を、口頭で伝えるだけでなく紙に書いて伝達すること。 ○ 会議の進行に当たっては、ゆっくり、丁寧な進行を心がけ、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行う等、可能な範囲での配慮を行うこと。 (ルール・慣行の柔軟な変更の具体例) ○ スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保すること。 ○ 入学試験や定期試験等において、個々の学生等の障害特性に応じて、試験時間を延長したり、別室受験や支援機器の利用、点字や拡大文字の使用を認めたりすること。 ○ 成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討すること。 ○ 外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において、介助者等の立ち入りを認めること。 ○ 大学行事や講演、講習、研修等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長 p5 したりすること。 ○ 移動に困難のある学生等に配慮し、車両乗降場所を教室の出入り口に近い場所へ変更すること。 ○ 教育実習等の学外実習において、合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認めること。 ○ 教育実習、病棟実習等の実習授業において、事前に実習施設の見学を行うことや、通常よりも詳しいマニュアルを提供すること。 ○ 外国語のリスニングが難しい学生等について、リスニングが必須となる授業を他の形態の授業に代替すること。 ○ 障害のある学生等が参加している実験・実習等において、特別にティーチングアシスタント等を配置すること。 ○ ICレコーダー等を用いた授業の録音を認めること。 ○ 授業中、ノートを取ることが難しい学生等に、板書を写真撮影することを認めること。 ○ 不随意運動等により特定の作業が難しい障害者に対し、職員等を配置して作業の補助を行うこと。 ○ 感覚過敏等がある学生等に、サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォンの着用を認めること。 ○ 体調が悪くなるなどして、レポート等の提出期限に間に合わない可能性が高いときに、期限の延長を認めること。 ○ 履修登録の際、履修制限のかかる可能性のある選択科目において、機能障害による制約を受けにくい授業を確実に履修できるようにすること。 ○ 入学時のガイダンス等が集中する時期に、必要書類やスケジュールの確認などを個別に行うこと。 ○ 治療等で学習空白が生じる学生等に対して、補講を行う等、学習機会を確保できる方法を工夫すること。 ○ 授業出席に介助者が必要な場合には、介助者が授業の受講生でなくとも入室を認めること。 ○ 視覚障害や肢体不自由のある学生等の求めに応じて、事務窓口での同行の介助者の代筆による手続きを認めること。 ○ 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認めること。 第7 本学の職員に対する障害を理由とする差別を解消するための措置  以上に定めるもののほか、本学が、事業主としての立場で職員に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)第36条第1項及び第36条の5に基づき厚生労働省が定める各指針を踏まえて対応するものとする。 第8 東北大学病院の患者その他の利用者に対する障害を理由とする差別を解消するための措置 p6  以上に定めるもののほか、東北大学病院の患者その他の利用者に対する障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者差別解消法医療関係事業者向けガイドライン(厚生労働省)に準じて対応する。 第9 その他各部局における障害を理由とする差別を解消するための措置  以上に定めるもののほか、部局の長は、必要に応じて障害を理由とする差別を解消するための措置を別に定めるものとする。