寄せられた意見・要望と回答

投稿日時:2007/01/13 14:06

物理A棟の耐震強度について

物理A棟の耐震強度が0.5未満で姉歯物件よりも弱いという話を聞いてとても心配になりました。理学部の建物の耐震強度が知りたいので教えてください。

回答日時:2007/04/12 13:55

回答

理学研究科 より  
 建物の耐震強度についてのご心配、もっともだと思います。
 ここでは、断片的な情報による誤解や不安を招かないよう、客観的に説明します。
 先ず知っておかなければならないことは、建物の耐震性を評価する指標には複数あって、姉歯物件に関して用いられているのは『保有水平耐力』に関わる指標であり、物理A棟などに用いられている値は『構造耐震指標』のIs値という別の指標であることです。
 姉歯物件の『保有水平耐力』の指標は0.5以下で0.15という物件もありましたが、『保有水平耐力』の指標0.5は、Is値0.3とほぼ同等と考えられています。過去の地震被害データから、Is値0.3未満の建物は倒壊または崩壊する危険性が高いといわれています。また、Is値0.6以上では倒壊または崩壊する危険性が低く、Is値0.3〜0.6では倒壊または崩壊の危険性があるといわれています(「耐震診断基準同解説」、国土交通省住宅局建築指導課監修、財団法人日本建築防災協会発行)。
 ところで、理学部キャンパス内にある建物のうち、地学棟(昭和44年建築)のIs値は0.3、生物棟(昭和44年建築)は0.31でしたが、既に改修を終了しています。化学棟(昭和47年建築)のIs値は0.38ですが、平成19年度中に改修することが決まっています。ご質問の物理A棟(昭和50年建築)のIs値は0.48、数学棟(昭和53年建築)は0.47です。上記のIs値は、いずれも平成12年度の調査結果ですが、平成18年に化学棟と物理A 棟について理学研究科独自に行ったより詳細な再調査では、これらの建物のIs値には有意な経年変化が見られませんでした。
 地震による被害の程度を推定する際は、地盤条件、入射地震波のスペクトル、破壊現象そのものが確率論的であることなども考慮する必要がありますが、Is 値が示唆する物理A棟と数学棟の耐震性は、いずれも地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、または崩壊する危険性が全く無いとは言えないものの、その危険性が高いという区分には含まれていません。
 以上の説明で学生の皆さんの不安が少しでも解消されれば幸いです。

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