【医学部 2年】
学校保健安全法施行規則の第六条では定期健康診断は第一学年のみの実施が規定されている。そのため学部2年以上の学生は大学から通達されて健康診断を行う権利が法的には与えられていないことに気づいた。しかし東北大学は身長、体重、血圧、胸部レントゲン検査は行っているようだ。これを良心的だと捉える者もいるかもしれないが、私は非常に不十分であると考える。というのも、2年時から尿検査が行われないことは、果たして学生の健康に対して大学として責任をもって向き合っていると言えるのだろうか。私はそうは思えない。自覚症状のない疾病の発見を大学自ら怠っているとは言えないだろうか。なぜ2年時から尿検査が行われなくなるのか。医学的、統計的観点から、学生に不利益が生じていないことを明確に示していただきたい。それができなければ、この方針は直ちに改善していただきたい。法に背いていないから、という回答は控えていただきたい。
【保健管理センターより】
お問合せいただきまして有難うございます。
まず、学校健康診断を規定する基本法の「学校保健安全法」と「学校保健安全法施行規則(以下施行規則)」で規定されている事項につき事実確認をさせてください。
大学の健康診断も学校保健安全法第13条第1項「学校においては、毎学年定期に、児童生徒等(通信による教育を受ける学生を除く。)の健康診断を行わなければならない。」と施行規則第五条「法第十三条第一項の健康診断は、毎学年、六月三十日までに行うものとする。」により毎学年で定期的に行うものと規定されています。
また、施行規則第六条第3項で「第一項第八号に掲げるものの検査は、次の各号に掲げる学年において行うものとする。」として小学校・中学校の全学年と高等学校と大学の第一学年で行うものと指定されているのは施行規則第六条第1項第八号「八 肺結核の有無」のみです。一方、施行規則第六条第4項「第一項各号に掲げる検査の項目のうち、(途中省略)、大学においては第三号、第四号、第七号及び第十号に掲げるものを、それぞれ検査の項目から除くことができる。」により大学はその判断により施行規則第六条第一項第十号「十 尿」を健診項目から除外することができると規定されています。
東北大学は大学第1学年での尿検査は必要と判断し、大学1年生で尿検査を実施しています。学校健診の尿検査は1969年に腎臓病が小中学生の長期欠席者(50日以上)の原因の第1位(15%)であり、1972年に小中学生に約13,000人の腎臓病患児が存在すると報告されたことから、学校保健安全法の健診項目に尿検査を加える改正により1974年から小中学生の腎臓病のスクリーニングとして行われてきました。大学生の年代(18歳〜20歳台)における尿検査の適切な頻度、尿検査陽性者の精査と慢性糸球体腎炎に対する治療の有効性と費用対効果、大学健診の尿検査が将来の末期腎不全患者の減少につながるかなどの科学的根拠については現在十分な知見の集積を待っている段階です。このため、大学生の年代において,毎年の実施が必須であるとの明らかな科学的根拠は乏しいとの判断で大学2年以降は尿検査を実施していません。
一方で、大学1年のみ必要とされている「八 肺結核の有無」の検査(胸部X線検査)は必要性を認識し全学年で実施しています。これは、1)「空気感染」をする結核は多くの学生・職員が接する教室、研究室、外国人留学生寮等での感染拡大リスクが高いこと、2)東北大学は結核多発地域を含む海外からの留学生を多数受け入れており(留学生比率 学部2%、修士17%、博士30%)、今後も国際卓越大学体制強化計画により10年後に留学生比率を学部9%、修士25%、博士35%に増加する計画であることなどを考慮しての判断です。
また、2020年からのコロナ禍のため、それ以前の本学の定期健康診断は問診、胸部X線、身長・体重、血圧、内科診察(大学1年時)、視力と尿検査(大学1年時)を行っておりましたが、2020年は健康診断での感染対策として検査項目を厳選(問診と胸部X線のみ)して行い、2021年秋からはワクチン接種普及もあり身長・体重、2022年秋からは血圧測定、2024年春から内科診察・尿検査と感染状況を注視しながら可及的に健診項目を再開しました。
大学の健康診断は法的規定、学生の健康と社会的要求に資する科学的根拠、その時の感染状況(新興感染症・再興感染症等)等を考慮しながら健診項目を決定し、毎年胸部X線や尿検査等に必要な検査費用の予算を要求・確保して施行されるものです。ご理解と今後の大学健診実施へのご協力をよろしくお願いいたします。